2020年代に入って、「大雨特別警報」や「線状降水帯」という言葉を毎年のように耳にするようになりました。
過去には佐賀県基山町の丸林地区の土砂流出や浸水、福岡県小郡市での浸水被害や朝倉市を中心とした記録的豪雨など、私たちの暮らしのすぐそばでも大きな被害が発生し、防災について考える機会が増えています。
2026年の梅雨時期も、大雨を警戒する報道が続いています。各地で進む、最新の防災情報をまとめました。
2026年5月29日から、気象庁の防災気象情報が見直されています。
これまでの「大雨注意報」「大雨警報」などの情報に加え、警戒レベル別に推奨される行動が、より分かりやすく整理されました。

気象庁HP資料、新たな防災気象情報について(令和8年~)
河川の危険度についても伝え方が変更され、避難のタイミングがより分かりやすくなりました。
大雨が近づいてから慌てるのではなく、レベル2の段階でハザードマップや避難場所を確認しておくことが大切です。レベル3では高齢者等避難、レベル4では全員避難が呼びかけられます。レベル5の前に、必ず安全を確保しましょう。
気象庁の防災情報サービス「キキクル(危険度分布)」では、リアルタイムに土砂、浸水、洪水の危険度が地図上に色で表示され、最新の警戒レベルを確認することができます。
2018年7月、国の激甚災害にも指定された西日本豪雨は、佐賀県基山町にも大きな被害をもたらしました。特に丸林地区では土砂流出や浸水、道路の寸断などが相次ぎました。
その後、基山町ではさまざまな防災や減災対策が進められています。

丸林地区の上流に完成した砂防ダム
2023年3月末には、土砂災害対策の「砂防ダム」が完成。
2024年には、豪雨の際には池の決壊など安全性が懸念されていた桜の名所「亀の甲ため池」の改修も実施されました。この亀の甲池は、1953年6月に九州北部を襲った「昭和28年西日本水害」で決壊した歴史があります。

2018年の様子。低水位管理のため現在は水量が減少
床止め工の設置(川底が削られるのを防ぐ構造物)や治山工事が行われたほか、水路の改修や開口部の拡幅など、排水機能を高める取り組みが完了しています。
基山町は、洪水や土砂災害に加え、防災重点農業用ため池を対象とした「ため池ハザードマップ」も公開しています。
自宅や職場のそばにある、ため池の危険度チェックができます。
筑後川や宝満川の分岐点に位置する鳥栖市南部の水屋町には、古くから大雨のたびに水害に見舞われる地域だったことから、洪水に備えて木製の船を軒下に吊るして保管する「揚げ舟」という風習があるそう。
特に昭和28年西日本水害では、筑後川流域で死者・行方不明者1000名以上を出した大災害となり、その教訓が今に受け継がれています。
近年は短時間で大量の雨が降ることも増え、市内では道路冠水などの被害も発生しています。排水が追いつかず住宅地や道路に水があふれる「内水氾濫」への備えが、重要な課題です。
現在は「流域治水」の考え方のもと、大雨の際は水田に一時的に水をためることで、河川への急激な流出を抑える「田んぼダム」などの取り組みが進んでいます。
また、洪水ハザードマップに加え「内水ハザードマップ」も公開されており、身近な浸水リスクを確認することができます。
近年、小郡市では未曾有の豪雨による規模が大きい浸水が発生。特に、イオン小郡ショッピングセンター周辺の冠水や大崎地区400棟の浸水は、まだ記憶に新しい被害です。
こうした水害を教訓に、市内では積極的な防災・減災対策が進められています。

イオン小郡店の止水板と敷地を取り囲む土手
イオン小郡ショッピングセンターは、2024年に店舗周辺に2mほどの高さの土手を整備。駐車場入り口には止水板を設置するなど、浸水を防ぐ万全の対策を実施しています。また、調整池を活用しながら雨水対策も行われています。
住宅約400棟の浸水などの被害が続いた大崎地区では、雨水を速やかに排水するためのポンプ施設の整備が段階的に進められ、固定式2台と半固定式3台が完成。1分間に75tを排水できるようになりました。

小郡市大崎に設置された地域待望の雨水排水ポンプ
そのうち固定式の雨水排水ポンプは、2026年6月1日に完成したばかり。
鳥栖市と同様に、小郡市は「田んぼダム」にも取り組んでいます。
筑紫野市は平野部と山間部の両方を持つ地域で、大雨の際には浸水と土砂災害の両方に備える必要があります。
2021年8月の豪雨では山口地区で土砂災害が発生し、人的被害も発生しました。
市内を流れる山口川や高尾川、鷺田川では集中豪雨による浸水被害が発生しており、河川改修や護岸整備などの対策が進められてきました。
現在は洪水、土砂災害、内水氾濫に対応したハザードマップが公開されており、自宅や職場周辺の危険箇所を確認することができます。
