基山町まちづくり基金事業の団体を紹介する記事、通称”21記事”。
シリーズ第3弾の今回は、「しゃべり場」です!
しゃべり場は、基山町近郊の子育て世代の「息抜きの場」をコンセプトに、子連れの親子も同室でくつろげるスペースを設けながら、大人同士の会話を楽しむ場。基山町内の公共施設の部屋を使って、月に1度の頻度で開催されています。
初対面でも「仕事」「子育て」「やらねば」を離れて、ひとりの人としておしゃべりをすることで、忙しくておざなりになりがちな個人の気持ちを整理整頓し、お互いを認め合うことを目的としています。
一言で言うと、その人のそのままを受け止める会≒自分のそのままを受け止めてもらう会。しゃべり場で話したことや聞いたことは、「他言しない」「相手の考え方を否定しない」場づくりを心掛けています。
「みんなが本音を出せる、そういう会にしていきたいな~。」と真剣に語るのは、しゃべり場代表の松永 裕香(まつなが ゆうか)さんです。
コッテコテの関西弁でよく笑いよく話す、我々の大阪府民イメージを体現している彼女。基山町民歴は8年で、「しゃべり場」だけでなく地域のさまざまな活動を通じて、町に溶け込んでいます。
参加人数は多い時で20名程度。取材時は、珍しくも最少人数の4名でした(私含む)。
私自身、今まで数回参加したことがあるのですが、やはりこじんまりとしたこのくらいの人数が一番しゃべりやすいですね♪
人数が多い時も少ない時も、いつも参加者全員の顔が見渡せるように輪になります。
この日は最初に、A4サイズほどのプリントを3つに区分けし、「今日呼ばれたい(みんなに呼んで欲しい)名前」、「昨晩食べたもの」、「実は嫌いなこと」を紙に書き出しました。その紙を元に自己紹介をするのですが、1人3分と決まっていたところが…皆が質問をしてくるのでなかなか進まずに、なんと冒頭から1人20分ほど話してしまっていました!
ルールがあっても柔軟に変えていくのが、しゃべり場。固く畏まった会議のようにならずに、いいですよね♪松永さんは、こういった雰囲気づくりの天才ではないかと、個人的に思います。
「お母さんの本音を言える場所、要るよね!!」と松永さんと意気投合したのが、町内の児童養護施設、洗心寮の施設長を務める調 淨信(しらべ きよのぶ)さん。
「母とか、妻とか、女とか…そういうの抜きで話せたことこそが本音だと思う」と彼は言います。
しゃべり場は毎回、活動終了時には簡単なアンケートを取っていますが、参加者の満足度はいつも高め。最中に、ほろっと涙をこぼしてしまう人も過去にはいたんだとか…役目を肩から降ろすことで、ずっと吐き出せないでいた”本音”が、出てきた証拠かもしれません。
何かと忙しい子育て現役世代。もしかして病気の時にしか、休養を取れていなかったりしませんか?
あるいは、子どもの学校行事のため、家族でお出かけするため…。休日も、実は”休んでいる”とは言えないような日々を送っていませんか?
松永さんは言います。
「『何をしてもいい時間』って言うのは、イコール『何もせんでいい時間』であって、こういう時間というのは病気で寝込んでいる時だけじゃなくて、健康な時にも持っていい時間やと思うんよね。忙しいけど、『立ち止まる』『立ち止まってみる』っていうのを忘れないでほしい。空白の時間っていうのが、心のエネルギーが回復するために必要なことなんやと思う。」
整体院に行って体をほぐすのと同様に、「頭も心もほぐすことが大事」なんですって。
確かに大人になると、「何もしない時間」を確保することは至難の技。小さな子どもの子育て期間であれば、なおさらですよね。
普段のしゃべり場は、小さな子連れのお母さんたちも多く参加されています。日常生活で空白の時間を作れなくても心の整理ができる、パワーチャージの場になっているのかもしれません。
実は2018年3月で、基山町まちづくり基金の助成を終えたしゃべり場。4月からは1団体として自立し、活動を続けています。
この際なので、心機一転、「しゃべり場」という名前も「立ち止まり委員会」とかに変えようかな~と呟く松永さんに、その場にいたメンバー…淨信さん、三鈴さんから「言いにくい」とブーイングの嵐。団体名を変える話はしばらく無さそうです。
しゃべり場は、今後参加者を募るために、名刺を作成されています。
そしてこの名刺、ポスティングなどで配布するのではなく、「スーパーの前とかで子ども連れてるお母さん一人一人に『こんなんやってるんやけど』って言って渡して歩きたい」とのこと!
最後に、「補助金もなくなって大変な活動だと思うんですけど、何で続けていけるんですか?」と松永さんに聞くと…。
「”やってあげてる感”は0!自分たちの居心地のいい場所を作っているだけ!活動を続けていくうちに、さらに深みを知って、自分たちにとってもっと必要なことだと思ったからやっている!」と笑顔で答えて下さいました。
あるがままの自分でいられる場所。運営メンバーたちにとっても、しゃべり場は何ものにも代え難い場所となっているようです。
しゃべり場では、自分の話を聞いてもらうだけでなく他の人の話も聞くことが出来るので、「ツライのは私だけじゃないんだ」と勇気に繋がったこともしばしば。
立ち止まりたいな、と思うのは決まって心にモヤモヤがある時。自分と向かい合って、そのモヤモヤを解消しないことには、どんな楽しいことをしていても心底楽しめません。
自分と向き合う時間を取ってみても、「でも、でも、でも」という思考が癖になっている人は、モヤモヤが晴れるまで同じ道を何度も通ってしまいます。モヤモヤを晴らすために、「何かいいきっかけが欲しいなぁ」と思っている人に、しゃべり場はおススメです。心に元気がない時ほど行きたい場所だな、と思っています。
取材対応して下さった松永さん、淨信さん、三鈴さん、ありがとうございました!
当日の飛び入り参加ももちろんOK!
会場が毎月変わる場合がありますので、参加される時は場所の確認をして下さいね♪
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