基山町立図書館の郷土資料コーナーで9月7日から10月8日の日曜日まで、絵本作家わかやまけんさんの絵本原画展を無料で楽しむことができます。
わかやまけん、と聞いてピンと来なくても、「こぐまちゃんえほんシリーズ」の作家と聞くと、もしかして?と思う方はきっといるはず。
そう、1972年初版の「しろくまちゃんのほっとけーき」(こぐま社)を始めとする一連のシリーズは、発行部数が累計950万部を超えるロングセラー。親子二代と言わず今では三代にわたって、愛されている絵本なのです。
そんな著名作家の原画展がまたなぜ、佐賀県のすみっこ、基山町で?
企画を担当された図書館の城本直子さんにお話をうかがってきました。
——基山町立図書館では、読書推進イベントとして「ありがとう!わかやまけんさん絵本原画展」を企画、開催ということですが、ポスターには追悼の文字も。一ファンとして衝撃を受けました。
「実は今年の8月になって初めて、報道された訃報です。もともと長くパーキンソン病を患われていたらしく、2015年に85歳でお亡くなりになりました。故人の遺志でその事実を伏せていたそうなのですが、今年の夏に大分県宇佐市で国内初めての追悼原画展が開かれ、そのタイミングで公表されました」
——では、今回の原画展は佐賀県内では初の、わかやまけんさん追悼展になるんですね。
「そうですね。宇佐での開催が国内初だそうなので、国内2例目ということになるかもしれません」
——どういった経緯で企画を?
「今年に入って、知り合いの関係者の方から初めてわかやまさんの訃報と宇佐市で追悼展が開かれると聞いて…基山町でもぜひ!と思って原画所有者の方に協力を依頼し、実現することができました」
——わかやまさんと言えば「こぐまちゃんシリーズ」のイメージが強かったのですが、今回の展示会では肉筆が優しいタッチの絵本原画に見入ってしまいました。
「今回は『かばのさかだちあいうえお』と『おばけのどろんどろんシリーズ』(いずれもポプラ社)から計13点を展示しています。長く読み継がれている絵本の作家さんなので、親子で原画のあたたかさにふれてほしいなと思っています」
ところで基山町立図書館では毎月2回、第2金曜日11時と第四日曜日9時半から、ボランティアさんたち(まぁまぽけっと、日曜お話し会)が絵本の読み聞かせをしてくれる「お話し会」が開かれています。
取材日にたまたま遭遇したお話し会の読み聞かせ絵本のラインナップにも、しっかり、わかやまけんさんの一冊が。
これからもわかやまけんさんの絵本は世代を超えて、愛されていくんだろうなぁと感じる一幕でした。