2022年2月22日は、鎌倉時代から800年ぶりに「2」が6つも並ぶという、「スーパー猫の日」。
基山町ローカルメディア『大字基山』が、この二度とないタイミングを逃すわけにはいきません!
日頃から気になっている人も多いであろう、佐賀県基山町の「猫」、2022年最新事情を取材しました。
佐賀県基山町は、福岡県との県境。しかも山が多い田舎町…という地理的事情から、山でも街中でも、野良猫の目撃情報が絶えません。
そもそも、なぜ野良猫はいるのか?
答えは、人間の都合で「捨てられたから」です。保護されていない、屋外で暮らす猫が野良猫です。
「犬猫を捨てる」行為は、犯罪です。どんな場所であれ、愛護動物を遺棄した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。絶対にやめてください。
その被害・影響は当然、町に暮らす人々にも。糞尿被害はもちろん、庭を荒らされたり、嫌な思いをする人がたくさんいます。
そもそも、日本の猫は本来、外来種。家で飼われるペットとして品種改良されてきた結果、「野生に返る」ことはできません。
家族の一員として室内で飼われる猫の寿命が15年以上とされる一方で、野良猫は事故や病気、怪我で、その命は長くても5年ほど。屋外は猫にとって、過酷な環境なのです。
一方で、猫の繁殖力はとても強い!
猫の恋のシーズンはおよそ春・夏・秋、年に3回。その上、毎回4〜8匹ずつ出産するため、1匹のメス猫から最大24匹が誕生すると単純計算できます。
さらに、そのうちの半数をメス猫と考えます。猫は生後半年には成熟し、出産可能。つまり、春に生まれた子猫のメスは、その年の秋にはそれぞれ数匹ずつ、産めてしまうわけで……。
ねずみ算ならぬ猫算で、1匹のメス猫きっかけに、猫はあっという間に増えてしまうことが分かります。そして前述のように、過酷な環境下では、短命の不幸な猫が増えるだけ。
「野良猫がかわいそうだから・かわいいから」と餌をあげる行為も、猫を幸せにするどころか、その環境を悪化させてしまう結果につながります。猫がその地に居着き、むやみに数を増やしてしまうことになるため、保護せず餌だけあげる行為はやめましょう。
現在は、よほどのことがない限り、行政は猫を引き取れない法整備がされています。厄介者の野良猫は保健所が連れていってくれる…という他力本願は、2020年代には通用しません。
野良猫にまつわるジレンマは、多くの猫好きを悩ませています。だって、猫は本来、愛されるべき存在!
「人の暮らしを守りつつ、不幸な猫を減らす方法はないだろうか?」
基山町の猫好き・30代の同級生3人の会話がきっかけとなって、あれよあれよと地域を巻き込む活動を展開しつつあるのは、誕生したばかりのまちづくり団体「基山地域猫サポート ハッピーキャッツさくら」。
2021年に計画を立て始め、2022年春から本格的な活動を視野に、準備を進めています。
その活動の根幹は、「TNR」。
TNRは、猫をTrap/捕獲し,Neuter/不妊去勢手術を行い,Return/元の場所に戻すという行為のことです。
ハッピーキャッツさくらは、野良猫を殺処分するのではなく、地域が責任をもって見守る、一代限りの命「地域猫」にすることを目指しています。
去勢・避妊手術を受けた野良猫は、通称「さくら猫」と呼ばれます。理由は、手術済みの地域猫であることが分かりやすいように、桜の花びらのような形に耳をV字カットするから。
地域猫は、ボランティアによってルールに則った餌やりやトイレの管理がされるため、衛生面も改善します。発情する猫が減るので、騒音問題も軽減します。
この活動が長く続けば続くほど猫の頭数が減り、不幸な猫も少なくなりますが、すぐにいなくなるわけではありません。また、手術を動物虐待と感じる人も。
そのため、地域の自治会や愛猫家、そして「野良猫に餌をあげている人」「猫が嫌いな人」の理解・協力も必要です。
住宅街のけやき台エリアに限っても、20匹以上いると推察されている野良猫たち。今後は、民間で始まるボランティア活動をきっかけに、協力の輪が広がっていくかもしれません。
基山町けやき台でのTNRは、どうぶつ基金のさくらねこ無料不妊手術チケットで行われる見込み。より本格的な見守り活動に必要な経費は、助成金などの獲得を目指していくそうです。
なんの知識もない私たちが、ある日、野良猫と出会ってしまったら、どう行動するのが正解なのでしょうか。
ハッピーキャッツさくらによると、答えは3択。
- 保護して自分で責任をもって飼う
- 譲渡先が見つかるまで一時的に保護する(見つからなかったら自分で飼う覚悟で)
- 何もしない
自分で飼う場合は、「最期まで責任を持って」飼う覚悟が必要です。飼い始めたら、途中で止めることはできません。家の中で飼える環境か、日々の生活を検証するとともに、必要なお金についても考えます。
一時保護する場合も、「すぐに自分で病院に連れて行き、検査・治療を受けさせることができるか」「家の中で飼えるか」「譲渡先が見つからなかった時には自分で飼えるか」「譲渡までにかかる費用を負担できるか」など、考えることはたくさんあります。
自己負担を考えることなく、野良猫を保護し、行政やボランティアに猫を引き取ってもらおうとする人は多いものです。しかし、行政は基本的に引き取りは行っておらず、ボランティアに頼ってばかりでは現場がパンク・疲弊します。
猫の保護と譲渡には、必ず、人手と経費、場所と時間がかかるのです。
可哀想に思えても、「3.何もしない」選択は、勇気ある行動です。野良猫に餌をあげず、保護せず、放置した結果、私たち以外の「飼える誰か」「保護できる誰か」に運命の糸がつながるかもしれません。
「餌をあげる人がいるから…」と、”餌やりさん”を責める風潮もありますが、去勢・避妊手術を自費で行い、外暮らしの猫の環境や寿命と真剣に向き合い、ご近所トラブルにも対応するなど「保護者」として屋外の猫を可愛がっている人もたくさんいます。
猫の幸せと地域のために、「最期まで責任を持つ」という、ペットを飼うなら当たり前の意識を持っておきたいもの。
猫を可愛がる人は、完全室内飼育を基本に、猫の安全とご近所への対策を心がけましょう。去勢・避妊手術や迷子対策は、猫を守ることにも繋がります。
家族の一員としてこれから猫を迎えることを考えている人は、保護猫の譲渡会などでご縁を探すと、不幸な猫を減らす一助になるかもしれません。
2022年3月5日(土)と6日(日)の12時〜15時に、イオン小郡ショッピングセンターのたなばた広場(フードコート側入り口)にて、保護猫の譲渡会が行われます。
NPO法人さくらねこサポートOGORI主催の譲渡会ですが、保護せざるをえなかった基山町けやき台の猫2匹も参加するそう。
地域の保護猫活動に関心のある方、猫とのご縁を探している方にとって、良い機会になりますように。