「ほんげんぎょう」は、正月三が日が終わって日常生活を取り戻すころ、正月7日や小正月と呼ばれる1月14日・15日ごろに行われる昔ながらの伝統行事。長い竹を3、4本組んで立て、その年飾った門松や注連飾り、書き初めなどを持ち寄って焼く、地域のお祭りです。
全国的には「どんど焼き」、佐賀県や筑後地方では「ほんげんぎょう」と呼ばれるのが一般的のよう。基山町でも「ほんげんぎょう」と、よく見聞きします。
基山町まちづくり課に問い合わせたところ、これまで町内すべての「ほんげんぎょう」情報を取りまとめたことはないんだとか。というのも、もともとはご近所さん同士が集まり小規模に行う、町内各所で自主的に開かれている地域の行事だから。
役場が町内イベントとして把握しているのは、基山町6区、11区、15区、17区で行われた「ほんげんぎょう」。2020年は1月11日から13日にかけて、各所で実施されました。その他のエリアでも、区内の回覧板などで、事前にお知らせされている場所がありそうです。
年始の町広報紙にイベント情報として掲載されたほんげんぎょうは、まちづくり団体である「きやまむら」が主催しているもの。2020年1月11日に20回目を迎えるという現場に向かいました。
まちづくり団体「きやまむら」は、発足当時の小学校PTAの仲良し保護者メンバーが集まって結成したグループ。子育て現役時代には、基山近郊の自然体験を中心に、親子で集まって野遊びイベントを定期的に行っていたんだそう。その一環で、当時のPTAから引き継ぐ形で「ほんげんぎょう」を主催し始めたんだとか。
それから20年、当時は小さかった子どもたちも今では立派な成人ばかり。しかしこの「ほんげんぎょう」だけは、大切な年始の行事として継続されているんだそうです。
50年以上前の基山町のほんげんぎょうは、正月三が日が終わってから近所に集まって、道や畑、空き地で小さな火を起こして行っていたと教えてくださった、きやまむらの皆さん。当時はあちこちで、焚き火を囲んでご近所同士が語り合う時間だったのかもしれません。
現在のほんげんぎょうは、誰でも無料で参加ができる、燃え盛る炎と竹が割れる「ドン!ドン!」という音が迫力満点の年始のイベントです。1年間の家内安全、無病息災、五穀豊穣を願って、毎年行われています。
写真提供:きやまむらの皆さんと読者