2021年5月10日、佐賀県基山町で開催延期となった2020年東京オリンピックの聖火リレーが行われました。基山町は、佐賀県でのリレー2日目のスタート地点。
晴天に恵まれた当日は、ランナー8名がトーチを片手にゆっくりとコースを走りながら、ゴールまで聖火をつなぎました。
桜をモチーフにデザインされた聖火トーチの重さは、燃料を含めるとおよそ1.2kg。素材の一部には、東日本大震災の復興仮設住宅由来のアルミニウム建築廃材が使われています。
聖火ランナーは、走りながら、片手でしっかりとトーチをかざします。顎のあたりまで腕を上げておかないと「髪の毛が燃えてしまうかも」という危険があるため、本番に向けて走る練習をしてきたランナーたち。爪先まで真っ白なユニフォームに身を包み、笑顔で手を振りながら走り抜けました。
新型コロナウイルス感染症予防のため、沿道での応援や観客からの声援などが自粛を求められる中で行われた、聖火リレー。本来であれば沿道にびっしりと観客がいたはずですが、人口約1.7万人の基山町では総じて密と言われるほどの観客数ではなかった印象を受けました。
聖火ランナーを先導するのは、警察やオリンピックスポンサー陣による隊列です。さまざまなデザインや意匠を凝らした改造車両が並び、笑顔のスタッフが、オリンピックを盛り上げようと記念グッズを配布していました。
聖火がゴール地点の基山町立図書館前に到着してからは、あっという間に解散し、次の目的地・鳥栖市へ速やかに移動していった隊列。
集まった観客は口々に、「テーマパークのパレードを見ていた気分だった」。配布された記念グッズの「2020年」の文字を見ながら、「コロナがなければねぇ…」「本来ならもっと…」と現在の状況を惜しむ会話を交わす町民もいました。
ランナー以外の全員がマスクを着用し、声援も控えめ。関係者の笑顔に元気を貰いながら寂しさも感じてしまうという、図らずしも「コロナ禍」という現実と向き合うことになった聖火リレーでした。
2020年東京オリンピック開幕は、2021年7月23日金曜日に予定されています。