基山町には個性豊かな保育園・幼稚園が合わせて6園あります。
そのうち幼稚園は、見真幼稚園と基山幼稚園の2園。どちらも基山町の因通寺を母体とする、学校法人見真学園が運営する幼稚園です。
しかしこの2つの幼稚園、町内の保育園に比べると圧倒的に、インターネット上の情報が少ない。そもそも園のホームページが存在しません。基山町役場ホームページの情報でさえ、わずかなものです。
詳しい幼稚園の情報を入手するためには、直接電話、ないし現場に突撃するしかない…!
そこで大字基山では、2018年度の入園願書受け付けが始まる11月に向けて、カメラ片手に見真幼稚園への内部潜入取材を敢行。園長先生を筆頭に園の様子など、とにかく見真幼稚園の普段の姿を丸裸にするために園内をうろうろ、お話をうかがってきました。
大字基山として本記事が、2018年度に向けた見真幼稚園の最新情報決定版。
2017年現在の園の内部写真から園長先生インタビューまで、しかとご覧あれ!
※プライバシー・セキュリティ面への配慮から、園内施設の一部のみをご紹介しています。より詳しい情報は幼稚園まで直接お問い合わせ・ご確認ください。
まずは写真で、幼稚園の内部の様子から、ご覧ください。
県道沿いにあるので、車で乗り入れ可能な正面玄関です。こちらからは主に幼稚園関係車両が出入りし、保護者の車の乗り入れは正面玄関を通り過ぎて、保護者向け駐車場からになります。
見真幼稚園は、因通寺の敷地内にあります。因通寺の敷地面積はおよそ3万坪とのこと。その数字の非日常感に耳を疑いましたが、広さを具体的な何かで表せないかと調べてみたら、なんと東京ドーム2個分でした!
どひゃーー(っと本当に声が出た)。
聞けば、20年ほど前には西日本随一の広さの幼稚園、とも言われていたそう。真偽のほどは定かではありませんが、東京ドーム2個分…それもそうだろうなぁと納得してしまいます。
ザ・山道を散策するのも、園児たちの日課のようなもの。
みかん、びわ、栗…さまざまな果樹を横目に裏山を登っていった先には、少しひらけた空間があり、木製のアスレチック遊具が3点並んでいました。こちらはレンタルで3ヶ月に一度、交換されている遊具とのこと。安心安全で、子どもたちも飽きることなく遊べそうです。逆に、お気に入りの遊具がない!とこだわり派の園児からクレームがつくこともあるらしい。
裏山から、園内グラウンドと駐車場を見下ろしつつ…鳥栖方面の景色も見晴らせます。
基山町6園の中でも随一の広さを誇るであろうグラウンド。園児の普段の活動はもちろんのこと、このグラウンドで秋の運動会が開催されます。広すぎて向こう側が見えにくくなっていますが、滑り台やブランコなどの遊具もあります。
コンクリート製のプールも広い。取材時には、幼稚園のプールの季節が終わっていたので水が抜かれていました。
実はこのプール、開園からしばらく経ち、当時の保護者会と先生方で協力して作られたとのこと!雪が舞う、それはそれは寒い冬の間の作業だったそうで…老朽化が進んでいるそうですが、今でも補修しながら、大切に使われています。
園舎裏手に、砂場スペースもあります。こちらも広々。
鉄筋コンクリート製、二階建てです。昭和60年施工ということは…築32年。2018年度からは、建て替え工事が始まります。詳しくは、記事後半で!
大小ある教室のうち、比較的広い教室を案内いただきました。
教室の正面、宗教教育に熱心な様子がうかがえます。園の資料によれば、宗教教育とは豊かな人間性を身につけることであり「こころ」の教育、とのこと。
築30年以上という経年変化は隠しようもありませんが、子どもたちには使いやすそうな広さが確保されています。洋式タイプのトイレにはカーテンがついています。
幼稚園がお寺の敷地内にあるため、園児たちは普段からお寺のお御堂も利用しています。入学式や始業式、卒園式なども、このお御堂で行われます。その際には、「おつとめ」という礼拝や園長先生(お寺のご住職)による法話も、必ずあります。
見真幼稚園には3台の送迎バスがあります。基山町内はもちろん、鳥栖方面(弥生が丘まで)や小郡方面への送迎も行われています。
園児の1日のスケジュールはこんな感じ。
特色ある年間行事としては、やはり仏教関連の行事があります。逆にクリスマス会など宗教的背景の異なるイベントは行われていません。秋には運動会、お遊戯や劇を発表する生活発表会といったイベントが控えています。
幼稚園は14時半から降園が始まりますが、ご家庭の都合によって延長保育に申し込むことも可能です。延長保育は平日19時まで、土曜日は18時までとなっています。料金は平日1日650円、土曜日は1日850円で利用頻度が高くなっても、毎月設けられた上限額を越えることはありません。
見真幼稚園は3年保育の幼稚園。4月時点での満3歳児が年少として入園しますが、満2歳児向けの年少小クラスからの入園もできるようになっています。バスによる送迎もありますよ。
※追記:さくらんぼ教室は2019年度より、元・基山幼稚園のあった場所に移転しています。詳しくは園までお問い合わせください。
さらに生後4ヶ月から(!)なんらかの事情で保育園には預けないが、一時保育を利用したいという親子をサポートするために、子育て支援センター「さくらんぼ教室」が園の一角にあります。
こちらに関しては、バスによる送迎はありません。基山町内の方はもちろん、久留米方面や筑紫野方面へ働きに出かけられる方のお子さんをお預かりすることも多いそうです。県道沿いの立地だからこその、利便性ですね。
写真は2017年度の入園案内資料なので、参考までに。来年度の資料は、9月下旬ごろから配布されるとのこと!11月1日から受け付けが始まる入園申し込みには、園が配布する願書が必要です。
見真幼稚園についてさらに詳しく、因通寺ご住職であり見真幼稚園・園長の調准誓先生、現場の先生方のまとめ役でもある教務の埋金由美先生に、お話をうかがってきました。ちなみに同じ系列の基山幼稚園も、運営や教育方針はほとんど変わらないそう。
※前園長の調准誓先生は、2019年に逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表します。
——園長先生は因通寺のご住職でいらっしゃいます。普段の教育でも、仏教の教えを大切にされていますよね。
「浄土真宗の教え、親鸞聖人の生き様を子どもたちと一緒に学ぶ、ということですね。そして子どもを通して、保護者の皆さんや周りの大人たちにも仏の教えに気づいていただきたい。何より子どもたちの無邪気な姿に教えられることが多い、と思っています」(調)
——園の敷地の広さにも驚きました。山がお寺の敷地であり、幼稚園なんですね。
「管理が大変です(笑)。常日頃から、職員だけでなくお寺の門信徒さんたちが環境を整えてくださっているお陰ですね。折に触れて子どもたちとの交流も楽しいとおっしゃっていただき、ありがたいことです」(調)
「昔は季節の果実などをその場で収穫して、子どもたちと食べたりしていたのですが…最近は衛生面への配慮から安全第一で、四季折々の自然の変化を目で楽しむことに留めています。でもこれからの季節は栗拾いをして、茹でて食べたりなんかは、してますね!他にも葉っぱやどんぐり、椎の実を拾って…裏山の散策が子どもたちの日常ですから」(埋金)
——今回の6園取材企画のきっかけでもあるのですが…見真幼稚園も系列の基山幼稚園も、ホームページがありません。
「実は10年ほど前、ホームページを開設して情報発信をした方が良いのではないかという話にはなりました。しかしその分野に詳しい理事から、これからはプライバシーやセキュリティーの課題が出てくるだろうから、幼稚園はあえてアナログであって欲しいと。園としては、卒園した子たちが親になってその子どもたちがまた、園に通ってきて欲しい…卒園児に地元に戻ってきて欲しい。そんな思いもあって、あえて積極的に園をアピールすることはしておりません」(調)
——確かにインターネットが普及して問題・事件も出てきていますから、先見の明でそういった選択をされていたんですね。卒園児はどんな子どもが多いという印象をお持ちですか?
「小学校からは、見真・基山幼稚園の卒園児はきちんと先生の話を聞ける子が多い、とよく教えていただきます。普段からおつとめやお参りの時間があるからかなぁと思います」(埋金)
——お昼についてですが、見真も基山幼稚園も週3回のお弁当と、週2の給食ですね。
「幼稚園児だからこそ毎日、保護者の手によるお弁当を食べて育って欲しいという当初からの思いがあります。しかしそうすると小学校入学を機に突然、給食という普段食べ慣れてない味と出会うことになる。それでなかなか小学校の生活に慣れない…実はそんな卒園生の話を聞く機会があり、これではいかんと。最低限の経験値を積ませてあげたい、その思いで週に2回、給食を導入しています(編集部注:うち1回はパンと牛乳で、補食を家庭から持参することができる)」(調)
「アレルギーに関しては事前アンケートであらかじめ把握して業者に共有し、対応するようにしています。アレルギー項目が多い子や心配な子は、保護者と個別に面談の時間をとって相談しながら、その子にあった対応を決めています」(埋金)
——幼稚園の先生方は皆さん、なんだか懐かしくてあたたかな雰囲気を感じます。普段から何か気をつけられていることって、あるんでしょうか?
「子どもはもちろん保護者にも、先生に安心感を持って欲しいと思っています。そのため、髪の毛の過度なカラーリングやマニキュアは、勤務中は控えるように言っています。先生のペディキュアを見た子どもが怪我ではないかと心配して職員室に駆け込んできた…なんてこともありますので(笑)、とにかく子どもを心配させない、いつも安心して接してもらえる身づくろいを心がけています。あとは、安全面からアクセサリー類は結婚指輪だけ♥ですね」(埋金)
——保護者会についても教えてください。幼稚園となると活動が盛んなイメージがあります。
「保護者会は、保護者が子どもたちのために園の行事に参加する会、という認識です。小学校PTAの予行演習のようなものかもしれませんが…具体的にお手伝いいただきたい時には園から声をかけ、また保護者会のアイデアで園の行事の内容が変わったり…本当に、園の行事は保護者会次第という感じです」(調)
「保護者の皆さんの出会いの場にもなっているみたいです。保護者会役員を経験されてから、お付き合いがずっと続いている、という話もよく聞きますね。保護者会の役員は各クラスから2名選出され、役員会は年に5〜6回。見真まつりのような保護者会主催のイベント前には、よく集まって準備をしていただけています。子どもたちが楽しみにしている、年に一度のお祭りです」(埋金)
——園舎建て替えの予定があるとお聞きしています。
「創立50周年となる2019年度を新園舎で迎えたいと思っています。そのため2018年の春から、建て替え工事を始める予定です。今はイメージを設計家に伝えて、具体的な図面に落とし込んでいるところです」(調)
「2019年の1月から3月ごろには完成して、2018年度の年長さんたちにもわずかですが新園舎での生活を楽しんでほしいなと思っています。新園舎で迎える2019年度からは、基山幼稚園が見真幼稚園と統合します」(埋金)
——その新園舎のイメージをぜひ、教えてください!
「まず今の遊戯室や事務室がある棟を崩してから、その場に新園舎を建てる予定です。新園舎に子どもたちが引っ越してから、今の園舎がある場所を遊び場として整備します。今は外廊下が多いので…雨の日も子どもたちが思いっきり遊べる室内遊戯室を作ったり、子どもたちのいる空間を一新したいですね」(調)
インターネット上でおそらく初めて公開された、基山町の見真幼稚園ありのままの姿。いかがでしたか?
園児は日頃から裏山散策を通じて、四季のうつり変わりを身近に感じることができそうです。園の敷地面積東京ドーム2個分は、基山町…いや佐賀県随一の広さではないでしょうか。また仏教の教えを大切に、優しい視点で子どもたちに向き合っている先生方が印象的でした。
今回の取材、卒園生の方には懐かしい写真がたくさんあったのではないかと思います。しかし今の園舎の姿は、残念ながら今年で見納め。思い出がたくさん詰まった園舎が、2019年には未来の基山町園児たちのために、新たに生まれ変わります。
卒園生の皆さんはチャンスを見つけて、見真幼稚園に遊びに行ってみても良いかもしれませんね。きっと、先生方も喜ばれますよ!
なお、2018年の間は工事が続くので、年間行事等が変わってくるかもしれません。2018年度入園に関心があって、詳細が気になる方は直接、園までお問い合わせください。入園案内資料および願書配布は9月下旬、間もなく始まります!
施設・人物撮影協力:宮本薫
※2018年10月、園舎建て替えの様子などを公開しています!
※2020年9月、新しい園舎の様子などレポートしています!