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2026年度から基山町の下水道が変わる!建造中の汚水ポンプ場の様子

佐賀県基山町と福岡県小郡市のちょうど県境で、2025年現在、大きな工事が進んでいます。

場所は、高速道路そばの、ゴルフ練習場 T−SHOT小郡店からほど近い基山町小倉エリアです。

右手の林の向こう側が高速道路

基山町住宅街から離れた場所にあります

70トン級ラフタークレーンなど大きな重機が導入されることもある、公共事業の下水道工事です。

これまでの基山町の下水道事情

基山町内を走る下水道管は、およそ70キロの長さ。下水道全体計画区域内にある住居エリアの6割ほどが下水道整備されている状態で、残り4割は浄化槽などによる汚水処理が行われています。

現在は、町内の汚水処理施設は4施設が稼働していますが、そのうち3施設が使用開始から約40年が経過し、老朽化が進んでいます。施設内の機械や装置は、定期的な点検を行いながら、日々安定的な運用が行われています。

鳥栖市と福岡県の協力による基山町下水道(役場資料より)

町内3つの処理場は稼働から40年が経過(役場資料より)

一方で、平成30年から将来の運用継続に向けた検討が始まり、コストや効率性から基山町内で処理している汚水はすべて、福岡県管理の小郡市にある宝満川浄化センターで処理する計画が策定されました。

県境をまたぐ汚水処理事業は全国的にも珍しい事例で、大掛かりな計画です。

2026年稼働目標「基山汚水ポンプ場」

基山町内で処理している下水道の汚水を宝満川浄化センターに送り出すのは2026年度から始まり、移行の完了は2035年度ごろになる計画です。

2026年度供用開始の下水道整備事業

そこで、町内の汚水を1ヶ所にまとめるために、「基山汚水ポンプ場」の新設工事が進んでいます。この基山汚水ポンプ場が稼働し始めてから、町内の処理施設は順次廃止されていくことが発表されています。

地下に汚水を溜めてポンプで圧送します

完成に向けて大工事の真っ最中

基山汚水ポンプ場は、地上3階、地下2階の鉄筋コンクリート構造物で、中には将来的に汚水ポンプ4台が設置されます。

2024年度に着工してから現在は地下2階が完成し、地下1階部分の工事中。基山町らしく古代の古道が発掘され、調査のため一時中断もありましたが、事故なく順調に計画が進んでいます。

そばの高速道路に配慮した綿密な現場計画も

最新の工法で耐久性と周辺環境に配慮しながら、重機の転倒対策のため地盤を改良するなど工事現場を丁寧に管理しているのは、佐賀市に本店のある松尾建設株式会社と基山町の鳥飼建設株式会社。松尾建設株式会社は、創業140年という九州最大のゼネコンです。

工事期間限定・仮設の巨大マンホールは直径2.5m

巨大マンホール内での作業も進行中

また、基山汚水ポンプ場に集められた汚水をポンプによって小郡市方面に送り出すため、並行して小郡市・基山町での下水道整備工事も進んでいます。

通常の下水道管は大小あり、基山町では20〜70㎝までだそう

完成する基山汚水ポンプ場の稼働は、平時は無人とのこと。コンピューター制御されるシステムになります。

基山町下水道の将来は?

佐賀県基山町の下水道全体計画区域のうち4割に当たる浄化槽などのエリアは、今後10年かけて、下水道整備が行われる計画です。

地元民が下水道を私道や私有地に引き込むには金銭的負担が発生しますが、いずれは土地の資産価値になるという考え方もあるそう。

道路下の下水道管につながる基山町のマンホール

現在の基山町の下水道事業は、下水道管理経費の約95%が町民の使用料金によって確保されており、おおむね良好な事業と発表されています。

下水道管の老朽化は、全国的に深刻な問題です。

将来的には人口減少などで使用料収入が減少することが予想されていますが、これからも基山町は下水道利用者を維持し、地域の企業や工場にも下水道利用を呼び掛けながら、下水道を安定的に維持管理していく目標を掲げています。

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