大興善寺の紅葉ライトアップが、期間限定で始まりましたね。
紅葉が色づく時期になると、およそ5万人の来場者があるという大興善寺。
今年は初めて、プロの照明デザイナーがおよそ3ヶ月近くかけてプランを立てて、赤く染まる紅葉と大興善寺の夜の「魅せ方」をプロデュースしています。
普段の生活では聞き慣れない、「照明デザイナー」というお仕事。基山町が誇る佐賀県の一大観光地、大興善寺の紅葉ライトアップのリニューアルをどんな方が担当されたのか、テスト点灯を取材する際に直接お会いすることができたので、詳しいお話を聞いてきました。
今回のライトアップを担当されたのは、福岡市の設計事務所「仁設計」の照明デザイナー、青木千春さん。なんと2人目のお子さんを妊娠中で近々出産を控えている、バイタリティー溢れるワーキングマザーでもあります。
結婚前は照明専門の事務所に約8年ほど在籍され、当時は福岡タワーのライトアップを担当するチームの一員でもあったんだとか。現在は、ご主人が代表を務める設計事務所に所属する形で独立、子育てをしながらできる範囲で、お仕事をされているそうです。
——照明デザイナー、あまり聞きなれない職種かなと思うのですが…どんなことをされる専門職なんでしょう?
「住宅の照明はもちろん、屋外照明や、今回のようにライトアップのプロデュースなども含め、光に関するお仕事全般をさせていただいてます。光を絵の具にして夜をキャンパスに描く仕事、とも言われますね」
——ほぉ〜!かっこいい!
「特にイルミネーションやライトアップはLEDの普及もあって、最近では広く認知されてきましたが…物に光を当てて照らし出すことは、デザイナーでなくてもできます。でも光のボリュームの調節や、陰影を意識して光を当てることはなかなか難しいんじゃないでしょうか」
——なるほど、プロは「陰」を意識する。
「陰があるからこそ光が生きますし、その逆もありますよね。照明デザイナーは、光の機能と演出を兼ね備えたライトアップができます。例えば今回の紅葉ライトアップでは、足元を照らす光を参拝者の足が自然と行き先へ向かうように配置したり、照明に竹かごをつけて雰囲気を作ったり…総合的なデザインの視点から、空間を意識するようにしています」
——青木さんは33歳、私たちと同世代ですね♪まさに今、ご妊娠中とのことで、大興善寺の関係者の皆さんも縁起が良いと喜んでいらっしゃいました。
「ありがとうございます(笑)。実は今回の大興善寺のライトアップリニューアルは、独立して初めてのお仕事になるので…ご縁に感謝しています」
——今回の紅葉ライトアップが、復帰第一弾の記念すべきお仕事になるんですね!特に照明について、こだわったポイントについても教えてください。
「1300年祭ということと、お庭の美しさを生かすことを考えました。大興善寺は山寺でお庭に高低差があるため、振り向いたり見下ろしたりしながら紅葉を鑑賞する場面も多いかと思います。照明自体が眩しすぎないように、またどこから見ても光と影が目に美しく映るように、そんな空間作りを心がけました」
「それから契山伝説という、男女の出会いにまつわるお話があると聞いて…ストーリーに沿ったテーマをもうけて、紅葉の見どころをライトアップしています。順路どおりにお庭を楽しんでいただきながら、大切な人と出会い結ばれる、”絆”を今回のライトアップで感じていただけると嬉しいですね」
——ストーリー性があるというのも、今年の紅葉ライトアップの大きな特色になってます。
「今回のライトアップのタイトルは、”契山の灯り物語”です。期間限定となりますので、ぜひ多くの方に、大興善寺の夜の紅葉を楽しんでいただきたいです」
大興善寺の空間演出を担当した照明デザイナーに聞く、紅葉ライトアップの見どころ。いかがでしたか?今年の大興善寺の夜は一味も二味も違う…ということ、伝わりましたでしょうか。
ライトアップは11月26日の日曜日まで、毎日17時ごろから20時まで行われています。大興善寺関係者によると、今年の紅葉の染まり方は例年に比べてかなり早いとのこと。
大興善寺で紅葉狩りを満喫するなら、2017年はまさに今、ライトアップ期間中がおすすめですよ!
なお、大興善寺は23日にあるJR九州ウォーキングの目的地の1つにもなっていて、参加者には契園の参拝料が割引される特典があるそう。
この機会を逃す手はありませんね…!
どうぞ多くの方に、基山町で最高の紅葉を朝昼晩と、楽しんでいただけますように!
撮影協力:LINUS 宮本薫