基山町には、個性豊かな保育園・幼稚園が合わせて6つ。
大字基山では、2017年度から町内の園に潜入取材する特集企画を少しずつ、進めています。
それからわずか2年ほどで、町内の園事情はまた大きく変わりました。
今回は、2019年4月に開園したばかりの「基山バディ認定こども園」を取材してきました。
※プライバシー・セキュリティ面への配慮から、園内施設の一部のみをご紹介しています。より詳しい情報は園まで直接お問い合わせ・ご確認ください。
基山バディ認定こども園は、2019年に現在地に開園しました。運営するのは、社会福祉法人新芽会。30年ほど前から福岡県で保育事業をスタートし、福岡県内で3園を運営しています。開園前には、原田にある筑紫野校を取材していました。保育方針や園舎のコンセプトなど、筑紫野校と大きく変わる点はありません。
基山校開園から1年以上経ち、現地はどんな様子になっているのか?園長先生にもお話を聞くなど、詳しくレポートしていきます。
まずは外観から。
場所は、旧・基山図書館があった場所であり、旧・基山保育園の敷地の隣です。基山小学校の裏の川を挟んで、向かい側にあります。周囲には静かな住宅街と田んぼがあり、田園風景の中にあるおしゃれな建物として、通りがかる人の目を引きます。
そして、セキュリティも最新式。園を訪れる際には、インターホンで入り口を解錠してもらう必要があります。
玄関の自動ドアは、タッチセンサー。センサーは大人の胸あたりにあるので、子どもだけで外に出てしまう、ということは物理的に不可能とのこと。
玄関は段差なく、靴の脱ぎ履きができます。登園した園児は、靴を脱いですぐの、個人ロッカーに荷物を入れます。教室にロッカーはなく、全員がこの場所でお仕度やお道具類を整理しています。
登園、降園の確認や保護者への連絡などはアプリ「Kidsly」を利用。このアプリは、基山っ子みらい館の子育て交流広場や町内の他の園でも利用されています。
旧・基山保育園の駐車場を利用することができます。アスファルトで舗装されていて、雨の日も足元が安心です。
青々と、人工芝が張られた園庭。開放感があって、子どもたちも力いっぱい駆け回れそうです。
外からは覗けない場所にも、園庭があります。砂遊びももちろんですが、夏にはここで水遊びもしているんだとか。
バディこども園で提供される給食とおやつは、園内の給食室で調理されています。調理員は4名。アレルギー食にも対応しています。
毎日のメニューは、お迎え時のカウンターに置いてあります。保護者がそれを見て、1日の出来事や給食のことなど、子どもとの会話も弾みそうですね。
中央のメインホールは、まるで体育館のよう!天井も高いです。
雨の日も、子どもたちはいっぱい身体を動かすことができます。入園式などのイベントも、このホールで行われるんだそう。
ちなみに、ピアノや音響機器が、バスケットゴール下の扉の向こう側にあります。その他の各種大道具も、使わない時は専用の倉庫へ。工夫を凝らした、驚愕の収納力でした。
メインホールの両側が、子どもたちの教室になっています。
小さな子どもたちのクラスにある棚の荷物は、部屋の向こう側からも出し入れできるので、お迎えの保護者にも便利な仕組みになっています。
各種道具の収納にアイデアが光る、バディこども園。常に荷物のない、視覚的にスッキリとした教室を心がけていますが、園児たちの作品類はしっかりと掲示しています。
ミドルクラス(年中)以上は、扉がついたトイレを使います。そしてトイレ用スリッパの片づけ方まで、ユニーク!これなら「片付けたかどうか」が、子どもたちにとっても、目に見えて分かりますね。
基山バディ認定こども園では、普段から運動、遊び、製作など様々な活動を行っていますが、大きな特徴として「ゴールデンエイジプログラム」があります。「ゴールデンエイジ」とは、基本的な運動動作が身に付きやすい子どもの年齢(だいたい3歳ごろから)のこと。基山校では、ジュニアクラス(年少)以上の園児は週に1回、様々なスポーツを体験します。2020年からは英語もプログラムに加わり、3歳以上の全園児が対象となっています。
入園案内資料の表紙は、カタツムリをイメージしたバディ共通の園章。「ゆっくりじっくり成長してほしい」という想いが込められています。
詳細な案内資料を希望する方は、直接、園にご連絡ください。
開園から1年以上がたった、現在の基山バディ認定こども園についてさらに詳しく、鶴丸さよ子園長先生にお話をうかがってきました。
——園の子どもたちは、どんな子に育って欲しいと思われていますか?
自分の子どもを育てたりもして、保育の現場でもう30年になります。そこで感じるのは、親や大人の想いとは関係なく、子どもたちはなりたいものに「なっていく」んだなぁ、ということです。だから、子どもたちには自分のなりたいものになれるように、やりたいことに全力でたちむかえるような、そんな力を持ってほしい。幼児期に楽しい時間を過ごして、自分の考えや意見を言えて、自分の望みをかなえられるようになってほしいのです。そのために、たくさん運動して、元気な身体と元気な心をもってもらいたいです。
——だから、さまざまな運動が、子どもたちのスケジュールにしっかり組み込まれているんですね。男性の先生も複数名いらっしゃって、印象に残りました。
先生たちは、園児たちにとって身近な大人の「見本」です。女性だけでなく男性の先生がいることで、言葉だけでは伝えられない男女の違い、例えば身体の強さとか、そういったことを当たり前に感じられたらと思うんです。いろいろな大人の見本、若い先生もいればベテラン先生もいて。「みんな違ってみんないい」を言葉だけではなくて、日々の暮らしの中で体感・実感してもらいたいです。
——基山町に2019年に開園して、これまでを振り返っていかがですか?
私たちは、一方的に子どもたちに話をするばかりではなく、子ども達に「じゃあどうしたらいいかな?」「どう思う?」と声をかけるようにしています。すると、開園時には年中だった子たちは、今年は年長さんとして、ペットボトルで大きな作品作りをほぼ自分たちだけで行うことができました。先生からの指示が無くても、自分たちで役割を決め、協力し、作業を行って完成させたんです。1年弱の間に自分たちで考え実行できた、そんな成長を感じて、とても嬉しかったですね。
——保護者会についても教えてください。
私たちは、保護者は子どもの最大の味方であり、応援者であり、代弁者と思っています。園では先生が居て、家庭には保護者が居て、お互いの立場や役割を理解しながら、子ども達のためにという想いで保護者会を組織しています。
ですので、保護者会の会長や役員さんが園に来てお手伝いいただくようなことはほぼありません。子どもの代弁者としてお話を聞かせてもらい、会費についても子どもの代弁者である保護者の意見を聞き、どう子どもたちに還元できるかを一緒に考える。そんな場としての、保護者会です。
基山町に新しく保育園が開園したのは、なんと平成15年のちびはる保育園以来、16年ぶりのことでした!
バディ認定こども園はまだ卒園生が少ししかいません。そのため、園の中の様子を知るのはほぼ在園児の保護者であり、多くの子育て世代は「基山バディ認定こども園」が気になっていることでしょう。今回の取材では、園の雰囲気や、特徴であるスポーツに力を入れている理由など、多くのことを知ることができました。
町内の各園には、それぞれはっきりとした特徴があります。基山町は小さな町ですが、保育園・こども園・幼稚園の選択肢にバリエーションが増え、子育て世代に嬉しい町の進化なのではないかと感じました。