11月から新年度の入所受付が始まる、町内の保育園。申請書類は基山町役場こども課、基山保育園、たんぽぽ保育園、ころころ保育園、ちびはる保育園に配置されており、申請先はこども課です。
そして2019年度、基山町内の保育園・幼稚園事情はガラリと変わります。
中でも注目は、基山保育園から分園する形で町内に新しく開園する「基山バディ認定こども園」。現在、旧・図書館跡地に園舎が建築されている真っ最中です。
そして、町内唯一の「こども園」となるこちら、「幼稚園型(1号認定)」の願書配布は、11月1日8時から基山町民を対象に願書受付がスタート!3歳児、4歳児、5歳児の各学年4名の園児を募集しています。
そこで早速、園を運営する社会福祉法人新芽会に、園の完成イメージと保育方針について取材してきました。
社会福祉法人新芽会は、27年前から福岡県で保育事業をスタート。現在は「バディ」を冠につける保育園、認定こども園、幼稚園を福岡県内で3園運営しています。
基山町の「バディ」は、姉妹園としては4園目となる「認定こども園」。
すべての園舎には共通して、通り沿いに「BUDDY」の赤いオブジェが看板代わりに設置されています。
町内にある、どの保育園・幼稚園の雰囲気とも異なる個性を持つ外観と内観イメージです。
しかしイラストだけでは雰囲気が分からない…。どんな園なのか、今から気になる…!ということで、さらに詳しく関係者にお話を伺ってきました。
基山バディ認定こども園は、どんな園になるのか?
開園前にそのイメージをより具体的に知るために取材に訪れたのは、隣町である福岡県筑紫野市原田にある「認定こども園バディスポーツ幼育園」。筑紫野校も認定こども園ではありますが、主体は幼稚園なので、保育園タイプの基山校とは異なる制度やプログラムが多々あるものの、「園舎のイメージはほぼ同じ」だそう。
そもそも福岡県に初めて「バディ」が誕生した地が、実は筑紫野市原田。1992年に理事長先生である鶴丸聡一郎先生と、奥様で基山校の園長先生に就任される鶴丸さよ子先生によって、保育事業がスタートしました。
「バディ」保育園・幼稚園は、東京近郊を中心に全国的に存在しています。鶴丸ご夫妻は、東京の園での経験を元に新たな教育を考え、福岡での開園を決意されたんだそう。
玄関を入ると、バリアフリーな靴を脱ぐスペースが広々と確保されています。用意されている子ども椅子は、「オリンピックカラー」というこだわり!
玄関マットには「カタツムリ」をイメージした、バディ共通の園章。「ゆっくりじっくり成長してほしい」という思いが込められています。
玄関で靴を脱ぐとすぐ目の前には、個人ロッカー。理事長の聡一郎先生いわく、「みんなのウォークインクローゼットのような空間」なんだそう。年齢別にある教室内に個人のものを置くのではなく、活動内容に応じてこの場所から必要なものを出し入れします。
そして登園すると、ロッカー横の総合受付にお知らせ帳を提出、登園シールを貼るという流れ。
ちなみに0歳から1歳児までは教室横にロッカーが用意されていますが、このロッカー…よく見ると、教室側から中身を取り出せるというアイデア光る設備!「わざわざ教室に入らずとも、荷物を預けることができます。朝から忙しい保護者の負担を減らしたい」とのこと。
お昼寝に使われているのは、お布団ではなくて「ベッド」。1歳児までのクラスには床暖房も完備されています。年齢を問わず園児は皆、裸足で過ごすのがバディのルールです。
年齢別に教室も用意されていますが、活動内容によってパーティションの開閉でより広い空間になる場所も。縦割り保育の時間帯もあります。
広い教室に大人数の子どもたちがいると、どうしても空間に声や音が反響しがち。より過ごしやすい空間にするために、天井には音を減衰させる効果のある「吸音材」が使われています。
バスケットボールのゴールがある広いホールは、体育館のような雰囲気。取材当日、年長さんが運動会で披露するダンスの練習中でした。最初から鑑賞させていただく機会に恵まれたのですが、元気一杯のダンスと変幻自在の場面転換にびっくり!
筑紫野校の運動会本番には、全員お揃いの「この日のためだけの」Tシャツで、ダンスを披露するんだそう。
ちなみにバディでは、写真で子どもたちが着用しているシャツ・短パン、そしてトレーナーが制服。脱ぎ着しやすい服装で日中は過ごします。
運動するだけでなく、しっかり集中して取り組む活動の時には、年齢別の教室で過ごします。
どの部屋も木目が基調のすっきりした空間で、カラフルなおもちゃや絵が室内にまったくありませんが、それも園のこだわりの1つ。「カラフルなものがない、余計なものがない」空間だからこそ、子どもたちもその時々の活動にしっかり集中できるんだとか。おもちゃや道具類は、基本的にすべて見えないように収納されています。
園舎内にある給食室では、毎日、離乳食やお昼ご飯、おやつが手作りされています。調理と栄養管理業務は、その道のプロフェッショナルである株式会社福岡セントラル給食が担当。アレルギー除去食も可能な限り、対応しているとのこと。
トイレの動線も、年齢別の教室の配置を考えて設定しているんだそう。子どもたちの使いやすいように、先生方がお世話しやすいように、広々と、そして設計にはこだわられているようです。
園内の案内と保育方針について詳しいお話は、新芽会の理事長である鶴丸聡一郎先生に伺いました。
——さっそくですが基山バディ認定こども園、どんな園になるのでしょう?
今回初めて私たちは佐賀県内に、姉妹校をオープンする機会をいただけました。やるからには「基山町の意識を変える!」そんな強い意気込みで、町に貢献できる園になりたいですね。以前は3〜4年ほど、園の子どもたちがサガン鳥栖のエスコートキッズを務めた事もあって…佐賀とのご縁を感じています。筑紫野校の子どもたちも、基山の草スキー場にはよく遊びに行っていますよ。
また防音対策など、普段から周辺地域の方への節度を持って、運営していきたいと思っています。保護者の方々とも一緒に、保育について考えていきたいですね。
——バディらしさ、保育方針について教えてください。
バディというと「スポーツ、運動ばかり」とイメージされる方も多いかもしれませんが、実はそれだけじゃない。例えて言うと、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の世界観が理想です。歌ったり踊ったり…身体を動かすことはもちろんですが、実は外遊びにも積極的に出かけていますし、自分で工夫して遊びを作り出す「発想の転換」を大切にしています。そしてスポーツは、「達成経験」を得ることができます。年齢別に組まれたカリキュラムに取り組むことで、「できた!」が子どもたちの自信に繋がるんです。
——バディでは具体的に、どんな体験ができるんでしょう?
基山校では、年中さん以上を対象に月4回の「ゴールデンエイジプログラム」を提供します。専門の先生が指導する、サッカー、ダンス、体操、コーディネーショントレーニング(※編集部注:運動神経向上を目指すトレーニング)からなる、オリジナルのプログラムです。他にも希望者には体操や水泳教室など、課外授業の提供も考えています。
それから、筑紫野校・博多南校には4歳から中学生までが所属するサッカークラブもあります。今でも基山町から通っている園児やメンバーもいますし、希望者を受け入れていきたいですね。
——ちなみに、読み書きなどの取り組みは?
まずは、基本生活をしっかり身に付けることが大事だと考えています。白紙で生まれてくる子どもたちに、より良い人生を送って欲しいからこそ、身体能力や集中力、生活力をまず身につけて欲しい。その上で、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域にそったカリキュラムを組んで行っています。
——なるほど。子どもたちはどんな子に育って欲しいと思われていますか?
「自分で考え行動ができる子ども」です。何よりバディ系列の卒園児の多くは、文武両道!東京エリアのお話ですが、公務員ランナーとして注目されている川内優輝さんや、サッカー日本代表にも選ばれた武藤嘉紀さん、女優の土屋太鳳さんも、卒園児ですよ。
福岡からも、少年マガジンに連載されているプロの漫画家さんや、Jリーガーも3名誕生しています。
2019年4月開園に向けて、準備が進む基山バディ認定こども園。実際に系列校に伺い、理事長先生に取材したことで、事前のイメージとはまた違う印象を受けた読者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
年間のイベント行事の具体的な内容や場所などは、これから町内の施設や関係各所と相談しながら決めていきたいとのこと。
系列校の卒園児にまさかの著名人が続々と登場し、ちょっぴりミーハーですが、佐賀県基山町という小さな町に誕生する認定こども園の発展が今からますます楽しみです。
一部写真提供:認定こども園バディスポーツ幼育園