佐賀県基山町発ローカルメディア〜おおあざきやま〜

新型コロナ心がまえ2021:佐賀県内でのホテル療養と自宅療養、子どもについて

新型コロナウイルス変異株による流行が、これまでの傾向と異なるのは、「10代以下」「10代」の感染者も出てきていること。

佐賀県基山町は、2021年9月時点でワクチン接種率が9割を超えている高齢者を中心に感染が抑えられている反面、7月下旬以降、小中学生、保育園児等をはじめ、若年層の町民に多数の新規陽性者が報告されています。

「ホテル療養」が基本、自宅療養ゼロを目指す佐賀県

佐賀県の新型コロナウイルス感染者は、軽症・無症状者の場合は一般的に「ホテル療養」を保健所に指示されます。

感染拡大によって病床やホテルが逼迫してくると、年齢や家族構成、リスクを判断した上で「自宅療養」となる場合がありますが、佐賀県の目指す本来の医療体制は「自宅療養ゼロ」

2021/9/10時点の佐賀県内療養者の数など、佐賀県庁資料より

2021年9月10日時点では、一時期に比べると病床やホテルの使用率は下がってきています。佐賀県の担当者によると、今後もPCR陽性者はホテル療養を前提に、さらに使用できるホテルを増やしていく方針です。

2021/8/18佐賀県発表資料より抜粋、感染拡大時の対応

病院入院の対象となる「中等症」以上は、肺炎症状を起こしている感染者です。無症状・軽症でも、基礎疾患があるなど悪化するリスクが高いと判断される場合は、入院を指示されます。

佐賀県では、自宅療養者もホテル療養者も、必要に応じて、状態が悪くなれば病院へ。病院の治療でよくなれば、例えばホテルに移るというように、病床が足りなくなる事態を避ける形で、医療体制を整えています。

ホテル療養のため準備するもの

保健所からホテル療養を指示された場合は、佐賀県庁ホームページで公開されている「宿泊療養施設に入所される方へのお知らせ」を参考に、急いで荷造りをすることになります。

療養日数は最低10日間を想定して、準備をしなくてはなりません。

必ず持参するもの

現金、保険証、スマートフォン・携帯電話、各種受給者証※、おくすり手帳※ 

※は持っている方のみ

その他必要なものや身の回り品

館内着、下着、タオル、履物(スリッパ等)、歯磨きセット、眼鏡・コンタクト、 携帯電話の充電器、スキンケア用品(髭剃り等)、化粧品、生理用品、本やゲームなどの娯楽品など、定期薬

(あったら助かりそうなもの ※大字基山セレクト)

いつも使っている箸やコップ、食品(インスタント味噌汁やスープ類、ふりかけ、お菓子など)、レトルトおかゆ(胃腸の弱い方に)、梅干し、羽織もの(体温調整に)、洗剤、石鹸類(お風呂用)、大きな袋など(洗濯物・汚れ物入れ)、筆記用具

※缶・ビン類は廃棄物として処理できないため、持ち込みできません。マニキュアは自分でできる限り除去しておくこと。

佐賀県の公開情報を参考(2021/9/8時点)

館内着はパジャマ・部屋着のこと。佐賀県の場合、新型コロナ変異株が流行し始めてから、ホテル療養者は基本的に部屋から出ることはなくなりました。食事等は、各部屋の外に置く形で配膳されるそうです。

下着とタオルも、クリーニングの利用や家族の洗い物引き取り等ができないため、身につけるものや消耗品は最低10日分、用意します。ホテル療養期間中、定期的に下着を手洗いしていたという経験者もいました。

全部揃えるとかなりの大荷物になりますが、一人で持ち運びできるよう荷づくりしましょう。ホテル療養中に症状が悪化した場合は、そのまま指定病院へ入院となります。入院を想定して、前あきパジャマ等も準備できると安心です。

また、療養中は、原則として外部からの物品の持ち込み(差し入れ)はできません。ホテル入所日と翌日のみ、家族等からの荷物の取次ぎに対応してもらえるそうです。つまり、本人以外の家族が療養準備ができるのは、実質2日間。

面会と電話の取り次ぎも、禁止です。入院後の差し入れ等も難しいため、準備はできる限り念入りに…が理想ですね。

ホテル療養の費用は?

宿泊費用と食費は、無料です。宿泊施設備え付けの消耗品等にかかる費用以外は(例:禁止されている喫煙行為によるルームクリーニング代など)、請求されます。

医師による薬の処方や治療等については自己負担が発生する場合があるため、普段から処方されている薬がある場合は、お忘れなく。

ホテル療養中の生活

ホテル療養者は、毎日、体温と健康状態を電話で確認されます。一般的な「風邪症状」での療養を想定しているため、医師による診察や治療行為はありません(初日に軽症者に対して問診がある場合があります)。

健康観察を続ける中で、肺炎症状が悪化すると、病院に入院。無症状・軽症のままであれば、そのまま必要日数ホテルに滞在する、いわゆる缶詰状態です。

無症状のPCR陽性者の場合、発症日から6日間経過した後にPCR検査で陰性になり、さらにその翌日のPCR検査でも陰性が確認されると、日常生活に戻ります。PCR検査で陽性が続いても、発症日から10 日間が経過すると、ホテル療養は終了します。軽症者も、10日程度で自宅に戻る見込みです(2021年9月現在)。

経験者によると、薬局で入手できる風邪薬や解熱剤は、ホテルに常備されているそう。持ち込む荷物に余裕があればアロマや入浴剤などがあると、ホテル療養時の気分転換に役立つかもしれません。

なお、テレビ、冷蔵庫、Wi-Fi 等の基本設備は準備されており、VOD(動画配信サービス)も無料で視聴できるそうです。

ホテル療養中の食事

佐賀県東部エリアの場合、大手弁当業者による弁当類、パンなどが1日3食提供されています。揚げ物などもおかずに入っているため、胃腸の弱い方は対策をしておいた方が良いかもしれません。

また、長期入院すると、提供される食事に飽きてしまうというエピソードはよくある話。気分転換のためにレトルト食品やふりかけ、お菓子などがあると、助かりそうです。味覚・嗅覚症状があっても、梅干しなど「酸味」「甘味」は感じやすいという経験談も。

体調不良で食欲がない療養者には、おにぎりやゼリーなど口にしやすい食べ物が部屋に届けられる個別対応も、してもらえるそうです。

自宅療養について

佐賀県では2021年8月下旬から、感染拡大時の医療体制逼迫に対応するために、「自宅療養」が導入されました。

自宅療養が決まった場合は、必ず1日1度は電話での健康チェックを受けます。佐賀県によると、2021年9月時点で、自宅療養者の多くは無症状の濃厚接触者が同居していたり、近所に頼れる親類がいて、食事など日常生活は家族間で維持できる人がほとんどだそう。

一方で、家族全員がPCR陽性であったり、近くに頼れる人がいない場合、自宅療養する家庭の事情によって佐賀県から支援セットが届くサポートもあります。佐賀県庁の担当者によると、届けられる基本セットの内容は、ご飯や汁物、惣菜などの食料品、飲み物、トイレットペーパー、消毒備品など「結構たくさん入ってます」とのこと。

自宅療養の解除も、ホテル療養と同様の基準です。隔離生活は、10日前後を見込んでおきましょう。

PCR陽性の子どもについて

全国的に難しい問題となっている、家庭内で子どもだけPCR陽性になった時、もしくは子どもだけ陰性になった時の対応。

2021年9月現在、佐賀県では「子どものみ引き取る・隔離する」対応は、基本的に行っていません。しかし、PCR陽性者は年齢に関わらず、確実な医療サポートができる「ホテル療養」が前提です。

これまでの県内の先行事例は、以下の通りです。

  • PCR陽性の子どもに、保護者がつきそってホテル療養・入院(自宅療養を選択する場合も)
  • 身の回りのことができる年齢(中学3年生以上など)は1人でホテル療養や、濃厚接触者として自宅待機
  • 両親ともにPCR陽性の場合、子どもと一緒に自宅療養もしくはホテル療養 

「お子さんの特性で環境が変わることが苦手、というケースもある。保護者に協力いただく形でホテル療養を前提に、自宅療養なども選択肢として残していく」と大字基山編集部の取材に答えた佐賀県の担当者。

子どもに限らず、在宅介護をしている家庭では介護する側・される側が感染する例もあり、弱者をどうサポートしていくか難しい対応を迫られることもあるそう。

新型コロナウイルス感染は家庭内感染を防ぐのが難しく、子育てや介護をしていると、療養時はさまざまな困難が待ち受けていそうです。

保健所は、PCR陽性者の症状や各家庭の事情をヒアリングして、より良いと思われる療養方法を提案しています。

大切な家族の感染は想像するだけで辛いもの。万が一の際は、保健所の指導のもと、家族全員が納得できる療養ができることを願っています。

そして何より、「家族を守る」意識を高め、日常的な感染症対策に取り組みたいですね。

SNSでフォローする

メニューは表示されません