近所の誰かの好きなもの。
知らない誰かの大切なもの。
…それはきっと私が、あなたが、手に取ってみたくなる「逸品」。
2020年の夏、お盆の帰省シーズンは、新型コロナウイルスによって遠く離れた家族と会えず、恒例だったお墓参りも遠慮がち…そんな人も多いはず。過去には想像もしていなかったパンデミックを体験しながら、将来を不安に思ってしまう人もいることでしょう。
こんな時だからこそ、家族で向き合いたい「死後」の話。いつもと違うお盆を過ごしながら、真面目に「生と死」を考える…そんな時に便利な「エンディングノート」が、基山町役場で希望者を対象に無料配布されています。
エンディングノートとは「終活ノート」とも呼ばれ、人生の終末期や「死」に備えて、自身の希望などを書き留めておくものです。高齢者に限らず誰でも、自分自身の基本情報や資産、パソコンや携帯電話などプライベートな持ち物について、分かりやすく情報をまとめておくことができます。
このノートを制作したのは、基山町定住促進課。地元事業者から広告出稿を受けて、制作費用を捻出しました。その目的は、なんと「所有者不明の空き家対策」!
実は、「空き家の管理状態の相談を受けても、所有者不明の場合がある」ことは、長年、町の担当者を悩ます難題なんだそう。2020年度に入ってから、近所の空き家が荒れて困る…という相談が7件ほど寄せられたそうですが、調べてみるとそのうちの2件は、未相続だったという事実も。
しかし、なぜそんな空き家が発生するのか?理由はさまざまですが、相続人が「空き家の存在を知らない」「自分が相続人であることを知らない」といった背景もあるらしく、今回のエンディングノート制作に繋がっています。
ちなみに、エンディングノートに「遺言書」の効力はありません。生前に自身で、家族で、財産について整理して分かりやすくまとめておく、メモ書きのようなもの。遺言書などの作成は、弁護士・司法書士・行政書士・税理士などのプロに相談しましょう。
基山町のマイエンディングノートは、2020年7月に900部作成されて、8月現時点で残りは半数ほど。1年をかけて希望者に配布していく予定だそうです。県内では他に、鳥栖市などでも同様のノートが配布されています。
2020年7月から、基山町民を対象に、希望者には1人1冊まで無料配布中です。基山町役場の2階、定住促進課の窓口で受け取ることができます。
また、エンディングノート自体は本屋や文房具屋でも、さまざまなデザイン・価格帯のものが販売されています。