基山町出身で、プロ野球・横浜DeNAベイスターズの濱口遥大投手の基山町町民栄誉賞授賞式が今年の大晦日に決定したのは、すでにお知らせした通り。
ところでこの町民栄誉賞、どういう選考基準で決まって、授賞したらどうなるの?何がもらえるの?
…あらためて考えてみると、気になり始めませんか。
実は濱口投手の町民栄誉賞授賞が決定してから12月初旬、町役場の担当者にも会って、その詳細を聞いてきていました!
授賞式準備で忙しいさなか、丁寧に取材対応してくださったのは町内の「賞」全般を担当しているという、総務企画課行政係長の鳥飼秀文さん。賞と言っても今回の町民栄誉賞だけでなく、節目節目に町内の功労者に贈られる賞や人命救助の感謝状といったものまで…年間通じて、町の「賞」って、けっこうあるらしいのです。
役場倉庫に保管されている過去の広報誌まで引っ張り出してきていただきつつの全面協力、本当にありがとうございました!
それではまず、過去の受賞者たちについてご紹介。
1999年から制度として始まった基山町町民栄誉賞は、これまで2名の方が授賞されています。
当時の記憶があって懐かしく思う人、誰それ!?となる人、町民でも反応が分かれる授賞者になると思いますが…記念すべき1人目の町民栄誉賞は2000年当時、久留米大附設高等学校1年生だった中尾裕彰さん。
そもそも高校生で町民栄誉賞!?という驚きと同時に、授賞理由がまた、面白い!
新春の恒例行事である、皇居・宮殿で皇族の方々と短歌を披露し合う「歌会始の儀」に1999年、中学3年生の中尾さんはなんと当時史上最年少で入選。全国的なニュースとなり、翌年の一般応募はその影響で高校生だけでなく450名を超える小・中学生から作品が寄せられたというから、その注目度が大きかったことがうかがえます。
そしてそれに留まらなかったのが、基山町で初めての、そして高校生にして町民栄誉賞の最大の理由。なんと史上最年少記録を打ち立てたその翌年(同世代のライバルが増えたにも関わらず)、中尾さんは歌会始に2年連続で入選するという史上3人目の快挙を成し遂げたのです!!
1999年のお題は「青」、2000年のお題は「時」。決められた漢字1文字を使って短歌を詠むのが、歌会始めのルールです。
ではあらためて、およそ18年前に中尾さんが披露した短歌をじっくりしっかり、味わってみましょう。
…いかがでしょうか。中高生が詠んだとは思えぬ描写力と緊張感、フレッシュな感性とその崇高さが胸にズシンと響きますね。2首とも、時が経ても色褪せぬ名歌に、間違いなし。
2017年現在は、もちろん成人されている中尾さん。その後の消息を編集部で調べたところによると、高校卒業後は東京の有名大学に進学、今は都内の某大手企業にお勤めとのこと。お元気で、ご活躍されているようですよ!
みなさんご存知、週刊ヤングジャンプ(集英社)で連載中の大人気漫画「キングダム」の作者、原泰久さん。町民に作品のファンが多いことは言うまでもなく、もちろん町立図書館にも蔵書あり。地元愛の強い基山町民の、指定図書、必読書となりつつあります。
原さんは、2013年に第17回手塚治虫文化賞マンガ大賞を同作品で受賞し、同7月には町のふるさと大使にも就任。その功績を讃えられて、同年、史上2人目の町民栄誉賞授賞となりました。
過去に例のない古代中華戦国大河ロマン「キングダム」は、既刊累計2200万部を突破、2017年12月時点で単行本が48巻まで出版されています。まだまだ終わりが見えないキングダムの世界、これからも町民に夢と希望と興奮を与えてくれること間違いなし!
賞の授賞選考は、「基山町町民栄誉賞表彰規則」によって定められてます。
(目的)第1条 この規則は、基山町の町民若しくは団体又は本町に特別に縁故のある者で、広く町民に敬愛され町民に夢と希望を与え、町のイメージアップに寄与し、その功績が顕著な者に対しその栄誉をたたえることを目的とする。
選考委員会は基山町の副町長、教育長および関係部署の課長がメンバー。委員会を開いてから町民栄誉賞の候補者が決定し、本人に候補者として内諾を得てから、町長が授賞の最終判断を下すそう。
さまざまな分野で活躍する町出身者は町民栄誉賞の制度が始まってから今に至るまでたくさんいますが、やはり全国的に認知されるような賞の受賞や記録を打ち立てた時などが、町民栄誉賞を検討するきっかけになるようです。
今回の濱口遥大投手の場合は、ルーキーイヤーの二桁勝利、日本シリーズでの活躍と、生涯で一度きりの新人特別賞だからこそ…が授賞の大きな理由となった模様。
基山町としても、町出身者の活躍や功績のある方の挙動は常にウォッチしているため、今後も機会を逃さず積極的に栄誉賞候補者の検討をしていきたいということ、そして栄誉賞をきっかけにより多くの人に基山町のことを知ってほしいという思いを取材を通して、感じることができました。
最後に「もらえるもの」のお話。
これまた規則に明記されていますが、授賞者には町長から「表彰状および記念品」が贈呈されます。そしてこの記念品が「10万円相当」らしい!
えー、なになに!?とはやる気持ちを抑えて、具体的に何か…?と聞くと、授賞者の活躍分野で役立ててもらえそうな金券類、例えば図書券とか…だそう。
こちらが思っていた以上に、実用的でした。
濱口投手の場合は取材時にはまだ未定とのことでしたが、スポーツ分野で役立てていただけるような、何らかの「券」になる気配が濃厚のようです。
さあ、ここまで読んでしまえば、基山町町民栄誉賞の基礎知識はバッチリですね。
今年の大晦日に、基山町民の前にその成長した姿を見せてくれる濱口遥大投手、栄誉賞の表彰状と記念品だけでなく、ぜひ多くの町民、野球ファンから惜しみない拍手を贈りましょう!