旧石器時代から人の営みが考古学的に確認されている、佐賀県基山町。日本の歴史書にも地名が幾度も登場するなど、長い歴史の中で九州の要所のひとつとして重視されてきた場所です。
そのせいか、長く守り継がれてきた神社仏閣の数が町の規模の割に多い、という特徴も。今でも神事や伝統行事が地域に根付き、町民の暮らしの一部になっています。大字基山でも、これまでにいくつもの神社やお寺について触れてきました。
それぞれボリュームたっぷりの記事ですが、これでもまだ、ほんの一部!
2019年、そんな基山町の寺社をまとめたガイドブックが完成しました。
町内の寺社の実態や関係団体を調査し、一冊にまとめあげたのは、各方面から引っ張りだこのアート集団・PICFA(ピクファ)です。約30年前に作られたまとめ資料を、今回、最新の情報にアップデートしました。
2019年10月上旬、町内で行われたPICFAの展示会でも作品のひとつとしてガイドブックが並び、その全貌が明らかになっています。
会場は基山商店のギャラリー「基肄の蔵」
PICFAの集大成として作品やコラボ商品を展示販売、ワークショップも盛況でした
この展示会「PICFA EXHIBITION2」の一角で、基山町の神社とお寺の紹介がアートとして展示されていました。
町内地図と神社仏閣を糸でつなぎ、分かりやすく美しく
知らなかった!!
今回の調査によると、人が訪れることができる基山町のお寺は15軒、神社は31社。そのすべてを撮影し、所在地を散策マップにまとめた小冊子が「基山町の寺と神社」です。
持ち運びしやすいサイズのシンプルな小冊子
中は…なんとモノクロ!
ページをめくると、いわゆる「観光パンフレット」のイメージをくつがえす、モノクロで静かな雰囲気。想像力をかきたてる、写真集のような手触りのある作品として、成立しています。
撮影を担当したのは、大手メーカーのCMやアーティスト写真などを手がける東京在住のプロカメラマン、今泉好人氏。
基山町に2日間滞在し、撮影許可の降りた神社やお寺の本殿・本堂を美しいモノクロ写真におさめました。朝日や夕景、陽の差し込む時間と場所など、すべて計算づくの撮影だったそう。
例えば瀧光徳寺、檀林(だんりん)は仏教における学問所のこと。想像が広がります
そして、それぞれの写真に添えられているのは、その歴史や背景を匂わすかのようなシンプルな文章。実際に現地に出かけて見聞きすることで、謎が解ける…。ガイドブックを片手に、そんな探偵気分の町めぐりができそうです。
観光地ではない地元のお寺も掲載
地元民でも知らない神社、あったりして…?
また、「基山町の寺と神社」は掲載されている寺社の所在地が一覧になっており、マップにもまとめられています。
マップになるとあらためて分かる、神社仏閣の多さ
「こんなところに神社が本当にあるの?」「フルカラーで見てみたい!」「もっと詳しく知りたい」…etc.
あえて痒いところに手が届きにくい「写真集」になっている、挑戦的な今回の観光向け小冊子。いろいろな声が聞こえてきそうですが、それが基山町観光協会の真の狙い!
「これまで他県他市町村にない物を作りたかった」と語る、PICFA施設長の原田啓之さん。町外の観光業関係者の間でも話題だそう
ガイドブックを手がけたPICFA施設長の原田さんによると、実はマップの中にあるQRコードにも秘密が。スマートフォンなどでコードを読み取ると、リンク先のGoogleマップ上でそれぞれの寺社情報を拾えるようになっているそう。
写真集として楽しむだけでなく、読み手の「?」に応えて、しっかり観光情報を確認できる仕組みを作っています。
町内散策に便利なGoogleマップ、要チェックです
「今後は、同じマップ内に飲食店も掲載したいです。寺社巡りをした方のお腹が空いた時、基山町内でお食事もしやすくなりますよね」と、原田さん。その目は基山町の観光の未来を見据えています。
四季折々に変化する基山町の自然と、ミステリアスな寺社の歴史や文化。
春には桜とつつじ、夏の新緑、秋は紅葉が豊かに色づき、冬には山肌を雪が覆う日もあります。ぜひ、ご自身の目で、基山町の本当の「色」を確認してみてください。
寺社ガイドブック「基山町の寺と神社」は、基山町内の主なお寺と基山町観光協会、基山町役場産業振興課、PICFAでも手に入れることができます。
sponsored by 基山町観光協会